ISBN:4796623396 単行本 円道 祥之 宝島社 2001/07/28 ¥1,260 『機動戦士ガンダム』の魅力の1つは、登場するロボット兵器、「モビルスーツ」にある。「お子さま向け」「ロボットプロレス」と揶揄され続けてきたロボットアニメに、SF考証と戦争学とに裏打ちされたリアリティーを吹きこむことで、ガンダムは「お子さま向け」から脱却することができた。 本書は、ガンダムの陰の主役であるモビルスーツ…


と、いうことで。
ひさびさにレビュー機能を展開してみる。
実際、この本はかなり前に文庫本で入手しているわけだが、やはり「ミリタリ」&「ガンダマ」好きの俺にとっては心惹かれるタイトルである。

さて

この手の考証本、おそらく「空想科学読本」あたりから始まった一連の系列と見てよいと思うのだが、やはりと言うべきなのかどうか…系列に見られる面白さと欠点をしっかり内包している一冊だ。某友人の言葉を借りると、それは
「読み物としては傑作かもしれないが、資料や深く読み込む物としては今ひとつ」という所。
扱っているネタからして、読者(層は限定的かもしれないが)に対するツカミは強く、ざぁっと読んでいくと、ジョークを交えながら数多くのネタを網羅していて面白い、笑える。
しかし、俺のように重箱のスミをつつくのが大好きな人間がネチっこく読み込んでいくと、異常なほど誤植が目立つことと、
「連邦はジムにはビーム兵器を配備しなかった」※1
「ジムが複合装甲材なのはルナチタニウムをケチったから」※2
「米軍のMTB、M1A1エイブラハム」※3
「自衛隊のMTB」※3
といった、軍事、ガンダム双方に対する中途半端な知識不足(あるいは、あえて笑いに振って正確性は犠牲にしているのかもしれないが)を感じられる記述が、文庫版として再版になった状態であるにもかかわらずあったりするのも事実っちゃあ事実…まあ、コレを気にしない限りは、ツカミからオチまで一貫して読める、面白い読み物だと思う。

※1…ジム(RGM79か?)は、拳銃型のビーム・スプレーガンを装備。ガンダムのライフルより威力は落ちるとされているが、ザクのマシンガンよりゃ強力だっただろう。

※2…装甲素を複合して使うのは、複数の弾種(徹甲弾やHEAT弾)から身を守るために当然の策。著者自身、他の章では複合装甲の有用性をさんざん説いているのだが…

※3、4…MTBではマウンテンバイクの略称。戦車にあてるなら「MBT(メインバトルタンク)」だと思うのだが…何度も間違えている。それから、米軍の戦車は「エイブラムス」だったと思うのだが…発音の違いだろうか?

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